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人間学研究科 講義概要

2012年4月現在

人間学系科目/人間学・仏教系科目 (1年次必須)

人間学特講(人間学専攻/仏教学専攻)

近代の科学的思考法がもたらした人間観の本質を明らかにし、その問題点を明らかにすることを通して、ヒューマニズムを超える人間観の構築を指向する視点の獲得を目標に、学生同士の討論や研究発表などを行う。特に、ポストモダンを意識し、東洋的、仏教的人間観を視野に考察するよう指導する。

死生学特講(人間学専攻/仏教学専攻)

学部における「死生学」講義においては学生が漠然と抱いている「死」の概念の体系化に主眼点をおいた。そして、それを論拠として「死までをいかに生きるか」というテーマについて主に実証的側面から死生学を概説したが、本講義においては単に「概説」にとどまることなく、より学問的に深化・発展させた講義内容とする。具体的には、哲学的・宗教学的・歴史学的・民俗学的・医学的側面からみた死生学の根本的課題を比較文化論的に検討するとともに、人間存在そのものを全人的存在(身体的・精神的・社会的・霊的存在)としてとらえていく。

老年学特講(人間学専攻/仏教学専攻)

老年学(ジェロントロジィ)とは、人間の生涯にわたる変化ーエイジングーを多角的な側面から総合的に検証し、社会を生きる知恵の基盤となる学問である。高齢化によって生じる変化の諸側面についての科学的・客観的把握を目的とした学部「老年学」を基盤として、「老年学特論」では、長寿化する個人の人生と高齢化する社会とをつなぐミクロ・マクロの視点からエイジングのメカニズムを理解し、今日的課題を捉え、各自の専門領域の知見と併せてそれらの課題を解決する力の獲得をめざす。

グリーフケア特講(人間学専攻)

喪失による悲嘆反応について心理学的、臨床的、倫理的側面についての専門的知識を体得し、各人の関心を持った領域でのグリーフケアについて内外の文献研究や各人の実践を元に主体的に考察を深める。加えて、喪失体験と関連の深い心的外傷についても学習し、死別体験も含め「人が心に傷を受けること」についても検討を深める。

受講者は学習経験や自らの生活体験や宗教観などをもとに考え、研究的関心を持って先人の宗教的教えや心理学的先行研究を理解しようとすることが基本的態度として要求される。またグリーフケアに関する心理学・精神医学論文の多くは英語文献・実証研究であり、英語購読・心理学統計の知識が求められる。さらに仏教等の宗教に関する専門的知識や実践経験があることも望ましい。

カウンセリング特講(人間学専攻)

人間の「こころ」は,曖昧なものであるが故に,臨床心理学,社会心理学,発達心理学,認知心理学等の理論を用いて,できる限り実証的に検討することが必要となる。また,人間の適応の問題に関わる際には,各人の体験的理解と洞察を深めることが必要とされると同時に,心理学一般の知識から精神病理の心理学的理論に至る幅広い知識が要求される。 つまり,カウンセラーに限らず,人間の適応の問題に関わる際には,実証的な知見を読み解くスキル,実証的知見を蓄積しておくことが求められる。

本科目では,発達臨床心理学や対人心理学などの国内外の文献研究・実証的研究の知見を積極的に参照することによって,人間の適応の問題に関わる上で重要な基礎的知識や理論を学ぶことを目標とする。

現代仏教特講(仏教学専攻)

現代社会の諸問題、特に「生命」・「環境」・「暴力」を巡る問題について、仏教の視点から検討するとともに、解決の糸口を探求することを目標とする。

具体的には脳死・臓器移植や尊厳死、安楽死の問題を事例として取り上げて仏教の生命観を検討し、利他思想から「共生」を鍵概念として環境問題を考察し、実践的な仏教者の広義の平和構築への取り組みを通して暴力について考えていく。
その上で、経論と現実を切り結ぶ、仏教の現代的可能性を探求する。

仏教史特講(仏教学専攻)

インドに発祥した仏教はアジア各地に伝播し、各地域において独自の展開を遂げた。中央アジア・中国・朝鮮半島・日本へと伝えられた北伝仏教の系譜、一方ではインドから東南アジアに伝えられた南伝仏教の系譜とがあり、その他、チベット・モンゴルにも伝えられた。
本授業ではこれら2500年に及ぶ仏教の歴史を概観するとともに、仏教の多様性のよって来たる所以を学ぶ。

仏教・思想系科目 (2年次選択)

インド思想特講(人間学専攻/仏教学専攻)

古代のバラモン教、バラモン教と土着宗教が融合したヒンドゥー教、そして、ひとつの解釈学として成立した六派哲学を中心に、インド思想を歴史に沿って解説する。さらに、インド思想における人生観・人間観・死生観などを原典に基づいて紹介する。インドにおける知の在り方と思惟方法、インドの人生観・人間観・死生観について学び、インド思想の現代的意義や有効性などについて考察することをめざす。

中国思想特講(人間学専攻/仏教学専攻)

中国の根幹思想である儒教の経典五経の一つである『春秋』、その解釈書には『左伝』『公羊伝』『穀梁伝』のいわゆる春秋三伝があり、これを読み比べてそれぞれの特質を考察し、儒教の雛形となった先秦時代の思想の一斑を理解する。春秋三伝のうち、『左氏伝』は史実の記述を主体にするが、『公羊伝』と『穀梁伝』は『春秋』の解釈学としての特徴を強く持っており、『春秋』の一字一句の意味を問題にした問答対の形式をとる。そのために把握しにくい部分が多いので、特に『公羊伝』と『穀梁伝』の特質について見ていく。

人間倫理特論(人間学専攻)

他者とともに社会を構築して生きる個人の諸問題を考えるうえで重要な、(1)死生の問題、(2)他者問題について、諸立場について一定の理解をうるとともに、問題に向かう基本的姿勢を培うことを目指す。具体的事例として、(3)仏教思想においてこの問題がいかに捉えられるかを、他の宗教や思想と比較しつつ理解する。

西洋思想特講(人間学専攻)

哲学とは、大雑把に言うならば、我々が普段は当たり前のこととして受け入れていること、我々の世界観を論証により点検する営みである。すなわち、人間には心があること、言葉が意味を持つこと、過去の経験から学ぶことができるということ、道徳を尊重すべきこと、といった当たり前のことを振り返って見つめ直すという活動に哲学者たちは携わってきたのである。

本講義では、西洋哲学の伝統に依拠しながら、「心」「言語」「認識」「自由」「倫理」といった主題について哲学的検討を加え、我々の世界観がどのような仕方で存在しているのかということを見つめ直す。講義の目的は受講者が哲学的問題について自ら考え論じることができるようになることである。従って、過去の哲学者の学説の紹介も行うが、それはあくまで我々自身が上記の主題に対して自ら「哲学する」ための材料として位置付けられることになる。

仏教文化特講(人間学専攻/仏教学専攻)

本講義では仏教を信仰および実践が表現化された具体的な形としての儀礼および美術の側面から学び、仏教を教理的・思想的視点のみから捉えるのではなく、多角度から理解することを目標とする.具体的な学習内容は以下の通りである。

【儀礼】
ここではインド密教の儀礼に焦点をしぼり、11世紀から12世紀に著された総合的儀礼マニュアル(例:アバヤーカラグプタ作『金剛鬘』)などを題材に、いくつかの儀礼を取り上げ、儀礼の内容、儀礼と教理との関連、儀礼の背後に見られる宗教的社会的背景について考察をすすめていくことにしたい。
【美術】
平安時代後期の貴族・大江親通が著した『七大寺日記』は、南都(奈良)の東大寺をはじめとする主要寺院の堂宇や安置仏像に関する基本史料の一つである。その記述を読んで内容を理解し、中から数点の美術を取り上げて経典その他の文献または図像を補助的に用い、日本の仏教美術史研究における基礎的な資料の取り扱い方と方法論を学ぶ。

比較宗教特論(人間学専攻)

世界宗教の成立と展開過程を社会や文化の観点から明らかにすることを目的とし、キリスト教や仏教、イスラームなどの世界宗教が歴史的にどのように展開したかを具体的に見る。宗教がそれぞれの社会で果たしてきた役割についてみることにより、教義の面からだけでなく、慣習や芸能文化の面からも人々の人間観や社会観、身体感覚、国民意識などにどのように影響を与えたかを学ぶ。さらに異なる宗教文化の歴史的交流、習合についても理解する。

インド仏教特講(仏教学専攻)

古代インドに誕生した仏教は、アジア全域に伝播し、各地に固有の神々や宗教と融合しながらあらたな世界をつくりあげていった。本講義では、3000年前の古代インドのヴェーダの宗教を背景としながら、仏教がいかにして誕生したか、その思想史をたどる。具体的には、ヴェーダからウパニシャッドまでの思想を追い、さらに在俗司祭と出家者の異なった価値領域を考慮にいれて古代インドの世界観を明かし、それにたいしてブッダが説いた無常、無我の思想の意義や、その社会的な態度が思想といかにかかわるかを探求し、それが大乗仏教にいかに継承され、表現されなおしたかを考察する。

中国仏教特講(仏教学専攻)

インドからもたらされた仏教の思想が中国に本格的に根を下ろし、中国的な仏教思想として成立してくるのは隋唐代以降である。本講義では、隋唐代に広く読まれた仏教文献、あるいは隋唐代に成立した仏教文献の中から重要なものを取り上げて講読し、中国仏教の普遍的特質と各宗派の思想の独自性を明らかにしていく。『華厳五教章』、『摩訶止観』、『三論玄義』、『大乗起信論』、『大乗義章』、『対根起行法』などを取り上げる予定である。

浄土教特講(仏教学専攻)

浄土教は、インドから東アジアに伝達された大乗仏教の中で最も大きな流れの一つである。授業では、先ず『無量寿経』、『観無量寿経』及び『阿弥陀経』という「浄土三部経」を講読し、浄土教の基本的概念と世界観を身に付ける。次に、その後の中国、韓国及び日本における教義と実践に関する発展を考察する。最後には、キリスト教との比較や「アジャセ・コンプレクス」という心理学の接点という視点より、浄土教の現代宗教としての適切性を考慮することにする。

真宗概論(仏教学専攻)

親鸞思想の全体像から、人間が生きるということの意味を探求する。
親鸞の『歎異抄』を読みながら、三大特質といわれる他力、悪人、往生(成仏)観を考究する。分担して読解する。

浄土教理史(仏教学専攻)[隔年開講]

インドに浄土経典編慕という形をとって成立した浄土教が、中国・日本とどのような過程を経て展開・熟成していったのか、跡づけていきたい。

はじめに釈尊と阿弥陀仏の関係について語ってみたい。釈尊は分かるが阿弥陀仏というと途端に分からなくなるという話を聞くからである。

続いて浄土三部経の成立とその内容について述べていく。その中で、光明の思想、聞の思想などについて詳細に考えていきたい。 中国に入ると、曇鸞・道綽・善導という高僧によって浄土の思想が一般の民衆に広まっていく。その特徴はどこにあるのか、著述をとおしてみていきたい。

また、日本の源信・法然にみられる展開にも注目すべきものがある。浄土教の歴史を辿ってその本質的な内容を明らかにしていく。

真宗学特講(仏教学専攻)[隔年開講]

親鸞の生涯を学びながら、中世の歴史状況、宗教思想についても把握していく。親鸞の生涯がそのまま思想を表明していることに留意し、親鸞の思想の特質について深く考える。さらに、現代において、親鸞の教えがいかなる意味をもつかを学んでいく。

心理系科目 (2年次選択)

発達心理学特講(人間学専攻)

発達心理学の主要なテーマである遺伝要因と環境要因の影響に関して、「通文化的な普遍性を持つもの」と「文化によって変動するもの」という視点から検討する。特に、後者の部分に関して、日本やアメリカ合衆国で子ども向けに制作された映像作品の、逸脱行動や対人的葛藤のエピソードを比較分析することにより、発達期待、子ども観、しつけ方略の文化による違いを明らかにし、そのような差異が成人になったときの行動様式にどのように反映されるかを考察する。

認知心理学特講(人間学専攻)

人間は普段,特に意識せずとも自分の周囲の状況をすみやかに認識し,それに合わせて行動することができる。それは一見あたりまえのようでも,実は非常に複雑な心と脳のメカニズムに支えられている。認知心理学は,実験を通して自然科学的に人間の心に迫ることによって,この認知のメカニズムがいかにはたらき,また状況によってはうまくはたらかないかを明らかにしてきた。本講義では,その成果を学ぶことを通して,決して何でもできる万能な装置などではない人間の心と脳がどのようにして外界の膨大な情報をうまく処理し,柔軟な行動を導いているのか,そのメカニズムの理解を目指す。

人格心理学特講(人間学専攻)

昨今、多様なストレスによる精神的健康への影響が問題となっている。しかし、同じ出来事に遭遇した人でも、大きく精神的健康を損なう人もいれば、ほとんど影響を受けないという人もいる。そうした差異に関わる個人要因に、人格、すなわち、パーソナリティがあると考えられる。

そこで、本科目では「パーソナリティ(人格)と適応」の問題について考えを深めることを目的とする。中でも、適応とも不適応とも関係するといわれる「完全主義(perfectionism)」というパーソナリティを取り上げ、認知行動理論の観点から、その心理的メカニズムについて考えていきます。

社会心理学特講(人間学専攻)

前半は社会心理学の研究方法を学んだのち、現代社会心理学の主要トピックを取り上げて講義をする。具体的には、自己意識、対人認知、対人魅力、社会的影響過程(同調行動、援助行動、説得、社会的促進、リーダーシップなど)、集団決定などである。これらを学ぶことによって、社会心理学に関する基礎的知識を身につけることを目的とする。後半は、社会心理学に関する文献を講読する。これによって、社会心理学の知識をより深め、日常場面で起こる社会的現象の理解と応用が可能になるようにする。1年間の学習をとおして、人間行動を社会心理学的視点から解釈できる知識を獲得することが到達目標となる。

環境心理学特講(人間学専攻)

環境が人間の暮らしや気持ちを豊かにすることを理解し、環境に関する基礎知識の習得と専門的理解を深め、環境と人間との関係性を探究することを目的とし、環境知性を有する人材を育成すること。環境を評価するときに適用されることが多い代表的な評価手法を、系統別に解説し、評価手法ごとの特徴を理解する。さらに、いくつかの評価手法を用いたワークショップをフォーラム機能を用いて実施し、単に評価手法を頭で理解するだけでなく、履修者が抱える研究テーマに対して、実際に適用できるだけの応用実践力を得ることを目指す。

保健・福祉系科目 (2年次選択)

精神保健学特講(人間学専攻)

自殺者数の増加に見られるように、近年わが国の精神保健(メンタルヘルス)の状況は、決して良いとは言えず、さらなる対応が求められている。自殺予防も含めて、人々のメンタルヘルスを維持・増進する活動を考える上で、精神疾患や障害に対する知識や理解は必須のものとなるであろう。そこで本講義においては、様々ある精神疾患/障害のうち、代表的なものをいくつか取りあげ、その内容を伝えるとともに、それらの疾患や障害にどう対応していけばよいかについて学んでいただくことになる。

ケースワーク特講(人間学専攻)

本講義では、社会福祉援助技術の一つであるケースワークについて、その歴史、基本概念とそのあり方を習得することによって、社会福祉援助活動について理解することを目的とする。具体的には、ケースワークの歴史、構造、定義、視点・モデルの理解、対象者の援助・支援に必要なスキルでアセスメント・プランニングなどの展開過程、面接技法を理解し、それらをふまえて事例を読み解けるようになることを課題とする。

ターミナルケア特論

ケアの基本は、ケア対象者を1人のかけがえのない人間として捉え、ケア対象者と全人格的に向き合うことにある。特にターミナルケアの現場では、その本質的な実践が求められる。本講では、そうしたケアの基本を徹底的に身につけると同時に、実際のターミナルケアの現場で直面する諸問題についての洞察を深め、ターミナルケア提供者に求められる総合的な能力の育成を目的とする。

特定課題研究演習 (2年次必修)

学習者は指定された課題の中から1つを選択し、個人あるいは分担しグループで研究し成果を発表する。複数の指導教員と学習者が意見交換等を行えるように、遠隔教育システム上のフォーラムに「特定課題研究フォーラム」を開設し学習をサポートする。

人間学専攻

  1. 「人間性の危機」に関する考察
  2. 生と死をめぐる諸問題
  3. ライフサイクルとアイデンティティをめぐる諸問題

2ヶ月に1度の面接及び随時メールでの研究指導を行う。

仏教学専攻

  1. 仏教における人間観
  2. 仏教史における諸問題
  3. 現代社会の諸問題と仏教

2ヶ月に1度の面接及び随時メールでの研究指導を行う。